東北大学 超小型地球観測衛星「雷神2」





  
写真右:H-IIAロケットに取り付けられた「雷神2」
写真中央:H-IIAロケット24号機打ち上げ
写真左:H-IIAロケットより分離の瞬間
(いずれもJAXAデジタルアーカイブスより)

私たちは、大学で小型衛星を開発する活動を2003年より本格的に開始し、2009年1月23日に初号機「雷神」が打ち上げられました。ところが「雷神」の運用は順調ではなく、当初掲げた科学観測目標を達成できない状況がおこりました。しかしながら、そこから多くのことを学ぶことができました。
「雷神」初号機以降、「雷鼓」「JEM-Glims」、「雷神2」と3つのミッションを展開することができ、初号機で果たせなかった大きな目標が達成されつつあることをたいへんうれしく、そしてありがたく思います。


雷神2衛星が高解像度スペクトル撮影に成功 (2014年12月18日)
超小型地球観測衛星「雷神2」が、世界初の宇宙用液晶波長可変フィルターを組み込んだ高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)を用いて、地表の高解像度スペクトル画像の撮影に成功しました。
複数の単色波長で観測された画像から、植生の分布・活性を表す指標(NDVI)のマップを地表での解像度約 10m で作成しました。数 100 波長の選択性のあるこの解像度での単色撮影技術は、大型衛星も含め宇宙観測としては世界最高です。
高解像度のスペクトル撮影は、CO2 排出権取引の基礎資料となる森林計測や、災害・汚染地域の高精度監視、高効率・高品質を実現する AI 農業、高度な省エネルギー漁業に道を拓くものです。
超小型衛星「雷神2」がクラス最高の高解像度地表撮影に成功(2014年7月4日)
東北大学と北海道大学が共同開発した超小型地球観測衛星「雷神2」は、5月24日(土)、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、その後、各種の試験運用を続けています。これまでに、魚眼CCDカメラ(WFC)を用いて日本付近の昼側の雲画像や夜景を捉えることに成功し、最近は高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)を用いた望遠撮影の実験も開始していました。その中で、7月2日(水)に、梅雨の晴れ間を捉えて、地表の詳細な景色を撮影することに成功しました。
得られた画像のうち代表的なもの1点を公開します。
撮影された場所は新潟県南部の南魚沼市の一部、約 3.2km x 2.2 km の範囲です。地表での空間解像度は当初目標にしていた約 5m を達成しており、重量 50kg クラスの超小型衛星としては、世界最高の性能を更新したことになります。こうした成果は、HPT の優れたセンサー技術と、衛星バスシステムの高度な制御が噛み合うことによって達成されました。これにより、国際的に競争の激しい重量 50kg クラスの衛星開発において、日本の技術の優位性を世界に示すことができると同時に、このクラスの衛星が、高度な実用衛星へ向けて大きな一歩を踏み出したと言うことができます。
「雷神2」本格的な観測に向けて順調に調整中(2014年6月12日)
東北大学と北海道大学が共同開発した超小型地球観測衛星「雷神2」は、5月24日(土)鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、その後、順調な試験運用を続けています。 これまでに、魚眼CCDカメラ(WFC)を用いた撮影試験、リアクションホイールを用いた衛星姿勢制御試験などを実施し、各機器が正常であることを確認しています。打ち上げ2週間目となる6月6日夜までに撮影した画像の一部(資料1~3)を公開します。

今後、高解像度多波長望遠鏡システム(HPT)や、ボロメータアレイ(BOL)の撮影試験等を行い、本格的な科学観測のための準備を整えていく予定です。
●5月24日打ち上げ成功! 衛星の状態は良好です。
「雷神2」は、2014年5月24日(土) 12時5分14秒(日本標準時)に、JAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の相乗り副衛星として、H-IIAロケット24号機にて種子島宇宙センターから打ち上がりました!
同日13時44分、東北大学での初回観測にて衛星データの取得に成功し、 内部温度や電源状態などが健全であることを確認しました。 これから1ヶ月程度、各種テストを実施したのちに、 本格的な地球観測を開始いたします。

打上げに際しては仙台市天文台および東北大学工学部にて、 パブリックビューイングを行い、たくさんの方々と打上げの瞬間を見届けることが できました。
会場に足を運んでいただいた皆様、応援してくださった皆さんに感謝・御礼申し上げます。

参考:パブリックビューイング開催告知

●5月24日の打ち上げに向けて、東北大学を出発しました。(4月5日)
  
●NHK-E「サイエンスゼロ」に登場しました!
「地球を見守る大編隊!超小型衛星ネットワーク計画」
NHK Eテレ
2014年4月6日(日)23:30~00:00
(再)2014年4月12日(土)12:30~13:00
●「雷神2」に搭載するメッセージ募集
衛星に搭載するメッセージの募集は終了しました。
たくさんのメッセージをいただき、ありがとうございました。
雷神2に対する応援メッセージも多数いただきました。皆さんの期待に答えることができるようにがんばりたいと思います。
メッセージの一部を紹介します。
雷神2の打ち上げおめでとうございます。/開発お疲れ様です。運用、頑張ってください。/兄貴の分まで活躍してくれることを祈ります。/メゲませんよ。雷神2!宇宙から復興を見守ってネ☆/星空を見てますと人がどうして地球にいるのか不思議に思います。/宇宙に飛び立って地球を見ながら、人がどこから来てどこへ行くのかを勉強したいなーと考えてます。/大人になったら宇宙飛行士になる夢を持ってます。/ 雷神様、どうか地球を見守ってください。そして天災から私たちをお守りください。
●2014年3月14日
「雷神2」の打ち上げ予定日が2014年5月24日に決まりました。
-JAXAからのプレスリリース
-東北大学からのプレスリリース
●2012年3月28日
「雷神2」がJAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の相乗り小型副衛星に選定されました。
-JAXAからのプレスリリース
-東北大学からのプレスリリース
-北海道大学からのプレスリリース
-マイナビニュース【レポート】
●2011年6月3日
報道関係各位に対して、「雷神2」の完成発表報告会を行いました。
「雷神2」は、「雷神」の後継機ですが、さまざまな改良と新規技術が導入されています。詳しくは下記資料をご覧下さい。
マイナビニュースに詳しい解説が掲載されています。

●「雷神2」に関する詳細な技術情報は、こちらへ。

●「雷神2」観測画像の置き場は、こちら。

● Detailed technical notes on "RISING-2" are posted here. (in English)

"RISING-2" at eoPortal (in English)

● Up-to-date RISING-2 imagery is available here.